管理費会計を見直す ③

この記事では、日常管理費の中でも管理員費用・清掃員費用と、管理会社が有償で提供している付帯サービスの見直し方法を説明します。

費用削減検討リスト<管理費会計編>

1、貯水槽清掃・水質検査貯水槽を所有する管理組合
2、定期清掃管理員や清掃員が行う日常清掃以外で、年に数回ある大掛かりな清掃を実施している組合
3、植栽管理庭木の剪定や殺虫剤散布等の業務を外部に委託している組合
4、雑排水管清掃共用部および各住戸の排水管清掃を管理会社に発注している組合
5、消防設備点検延床面積が150平方メートル以上の組合(ほぼすべての組合が該当)
6、貸会議室理事会や総会を集会室を借りて開催している組合
7、日常修繕日常修繕のほとんどを管理会社に発注している組合
8、管理員・清掃員業務管理員・清掃員が常駐(週に〇日など)している組合
9、その他管理会社が行う付帯的なサービス管理会社が管理組合と契約している管理委託契約外の付帯的なサービス
10、全館一括ネット通信費用全館(全戸)一括でインターネット接続サービスを契約している組合
11、各種組合サービス(理事会議事録全戸配布等)その他管理組合費用で行っているサービスがある組合
12、マンション火災保険保険内容を見直す / 保険料を抑制する
マンション管理組合の管理費会計削減対象項目リスト

(項目1,2,3,についてはこちら)

(項目4,5,6,7,についてはこちら)

見直し項目8 管理員・清掃員業務の見直し

管理員業務はマンション管理の要です。最近は住み込みの管理員はほぼなくなり、通勤管理員が主流です。また、巡回管理員と呼ばれる、月に数回~週1回程度マンションを巡回する管理員も多くなりました。

管理員業務は、清掃業務の有無で大きく2タイプに分かれます。

清掃業務を管理員業務と兼ねた兼業管理員と、管理業務と清掃業務が分かれている専業管理員です。兼業タイプは小ぶりなマンションが多く、専業タイプはある程度戸数の多いマンションに多く見られます。

また、大規模なマンションの場合は管理員が複数名で常駐していることもあります。

ここでは、小ぶりなマンション(100戸以下)で兼業管理員マンションと、専業管理員マンションでの業務見直し策を説明します。

管理員と清掃員がいる場合

100戸以下のマンションで管理員と清掃員がいる場合、両者が毎日フルタイム勤務というマンションは少ないでしょう。

まず、管理員の勤務が3日/週以下で勤務時間も5時間/日 以下程度の組合は、管理員を5日/週、6時間/日勤務に変更し、管理業務と清掃業務を1名で担当するよう変更します。(分業から兼業に変更しスタッフ人数を絞る)

このように、業務が二手に分かれている場合は、1人で兼業し、合計の業務時間を削減します。

例: 管理員(5時間/日×5日/週)+清掃員(3時間/日×5日/週)=40時間/週

   管理員(7時間/日×5日/週)=35時間/週

昨今は、管理員も採用難が続いていますが、一つの場所で週に30時間以上勤務できるマンションは人気があり、採用しやすく長期間勤務してくれる可能性も高まります。

管理員に有給の夏季休暇を与えるなど、待遇アップすることで長期勤務してもらうことは組合に大変なメリットがありますので、支出増につながらない待遇アップも併せて検討しましょう。

ちいさな管理

管理および清掃の「質」に関しては、費用削減の範囲で落ちることは当然と考えますが、大きな問題はないでしょう

管理員のみの場合

現状、管理員が清掃業務も兼ねている場合は、一日の勤務時間を増やし、週当たりの勤務時間を減らすことを検討します。

例: (4時間/日)×(4日/週)=16時間/週 → (5時間/日)×(3日/週)=15時間/週

例: (3時間/日)×(5日/週)=15時間/週 → (4時間/日)×(3日/週)=12時間/週 

勤務日数を減らすことで、管理員は他の曜日に他の仕事に就くことが出来たり、体を休めたりすることが出来るなどメリットがあります。

なお、ゴミ出しの問題で管理員を週4日以上など出勤が必要だという組合は、例えば資源ごみの日は当日の回収時間までに居住者自らがゴミ出しを行う方法に変更し、管理員の勤務日数削減を実現するための工夫をします。

また、有給の夏季休暇を与えるなど待遇をアップし、よい管理員が採用できるように検討します。

費用削減には、居住者のサービス低下は避けられませんが、可能な範囲で経費削減を行う組合になる必要があります。それが出来なければ、支出増に対処できず管理費の値上げが続くことになります。

見直し項目9 その他 管理会社が行う付帯サービスの解約

管理会社によっては、主たる管理委託契約以外にも○○サービスと銘打った有料付帯サービスを管理組合と一括契約していることがあります。

例えば、粗大ごみ搬出サービス、家電・カーテンの簡単な取付、コミュニティーのWEBサイトサービスや見守りサービスなどです。

このような個別サービスを組合の費用で一括契約することは、管理組合の運営上適切ではありません。

これらサービスは会計上も目に見えにくく、管理会社が説明しなければ何の費用かわからないことが多くあります。また、一度契約してしまうと利用もないまま月々の契約料だけが払われ続ける傾向にあります。

管理組合費用で一括契約している個人への個別サービスの有無をチェックし、廃止の検討を行います。

必要なサービスなら、各所有者が個別に契約するようにします。

別の記事で説明しますが、各住戸内のガス漏れ警報器を組合の費用で一斉交換することも、組合の支出として適切ではありません。

ちいさな管理

各住戸に対する個別サービスを、組合経費で支出することには注意が必要です

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保険に関する経費削減策は別記事 「保険内容を見直す」「保険料を抑制する」をご覧ください。

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