マンション設備に関する支出削減 ①

これまでの記事で、管理費会計から支出される管理に関する費用の削減策を提案しました。

ここからは、管理費会計から支出される「設備」に関する費用削減について説明します。

マンションには集合住宅特有の設備が多数設置されており、その点検や日常修繕の費用は、管理費会計から支出されています。この支出を抑えることで、管理費会計の収支改善が期待できます。

なお、設備を取り換えるまたは大規模な修繕を実施するなどの場合には、修繕積立金から支出されます。

費用削減検討項目リスト<管理費会計/設備編>

1、住戸内のガス漏れ警報器一斉取り換え各住戸内のガス警報器を管理組合の費用で全戸一斉交換している組合
2、機械式駐車場の平面化機械式駐車場の稼働率が70%以下の組合
3、リモコンを要するゲートの見直しリモコンを必要とする機械式ゲート(主に駐車場ゲート)を設置している組合
4、館内照明(電球)のLED化共用部照明がLED化されていない組合
5、防犯カメラ運用の見直し防犯カメラが設置されている組合
6、その他維持にお金がかかる施設の廃止フィットネススタジオ、入浴施設、その他維持管理に費用が掛かる施設を持つ組合
マンション管理組合の管理費会計費用削減項目リスト(設備編)

項目1、住戸内のガス漏れ警報器一斉取り換え

各住戸内に設置されているガス漏れ警報器の全戸一斉取り換えを、管理組合の費用でしていませんか?

ガス漏れ警報器の有効期限は5年です。この5年毎に管理組合の費用で警報機を全戸一斉交換しているマンションがあります。

使用期限が近付くと管理会社が提案してくるのですが、

住戸内のガス漏れ警報器は個人の所有物とされていることが多く、管理組合のお金を使って住戸内の私物を取り換えることは原則的にできません。

※住戸内のガス漏れ警報器が管理組合の共用物として管理規約に明記されている組合はこの限りではありません。

さらに、管理会社に一括取替を発注することで、費用が高額になることが多く、組合財政にとって不利益となります。

今後、取り替え時期が来た際には、各自で取り換えるようお知らせを掲示するに止めましょう。

管理会社が取り換える場合にも、支払いは各住戸(個人)が行い、管理組合のお金を支出しないことが重要です。

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組合のお金を使ってする取替工事の問題「感震ブレーカー全戸一斉交換の問題点」

検討項目2、機械式駐車場の平面化

機械式駐車場をお持ちですか?

機械式駐車場は「マンションの金食い虫」と言われる設備の一つです。

機械式駐車場の稼働率が高い場合は、管理組合に使用料が入ってくるため管理費会計の収入に大きく貢献します。

しかし、築10年頃にはパレットや支柱の再塗装が必要となり、築15年頃からは電気系統や駆動部系統の故障が目立ち始め、修理費に毎年多額の費用が掛かり始めます。

再塗装や大規模な部品取替えにまとまった金額の支出が避けられない上に、都心などでは築20年頃から駐車場の稼働率が下がり始める傾向があります。

早いマンションの場合、築20年を待たずに(1回目の部品交換せずに)機械式駐車場を取り壊し、平置き駐車場に変更するマンションも少なくありません。

機械式駐車場を撤去するメリットデメリット

<メリット><デメリット>
・日常修繕に掛かる費用を削減できる・機械式駐車場使用料収入がなくなる
・設備点検が不要となり費用を削減できる・駐車台数が減少する
・建替えや大規模な修繕に掛かる費用を削減できる・希望者全員が敷地内駐車場を利用できない可能性がある
・稼働させるための電気代が削減できる・撤去・埋め戻し工事に費用が掛かる
機械式駐車場廃止のメリット・デメリット

これらのメリット・デメリットを総合的に判断し、機械式駐車場の廃止時期を長期にわたって検討する必要があります。

近年では、経年した機械式駐車場は撤去が多く、再建築は稀です。車を持たない区分所有者も「廃止または存続」の議論に積極的にかかわることが重要です。

存続か廃止か!? チェックポイント

  • 機械式駐車場の稼働率が70%を切っているか
  • この数年の稼働率が右肩下がりであるか
  • 機械式駐車場を利用せず、外に駐車させている居住者がいるか
  • 周辺の月極駐車場料金に比べ館内の機械式駐車場利用料は割高か
  • 平面化した場合に駐車できる台数は何台になるか

これらのポイントを確認しながら、駐車場を維持するための支出と収入のバランスを念頭に、協議を行うことが重要です。

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・管理規約と標準管理規約

・長期修繕計画書の見方

・組合会計の基礎知識 ほか