マンション設備に関する支出削減 ②
引き続き、管理費会計から支出される「設備」に関する費用削減について説明します。
マンションには集合住宅特有の設備が多数設置されており、その点検や日常修繕の費用は、管理費会計から支出されています。この支出を抑えることで、管理費会計の収支改善が期待できます。
今回の記事では、リモコンで操作するゲートやシャッターを保有するマンションと、共用部照明器のLED化が未実施のマンションについて、経費削減をどのように進めていくかを説明します。
なお、設備を取り換えるまたは大規模な修繕を実施するなどの場合には、修繕積立金から支出されます。
費用削減検討項目リスト<管理費会計/設備編>
1、住戸内のガス漏れ警報器一斉取り換え | 各住戸内のガス警報器を管理組合の費用で全戸一斉交換している組合 |
2、機械式駐車場の平面化 | 機械式駐車場の稼働率が70%以下の組合 |
3、リモコンを要するゲートの見直し | リモコンを必要とする機械式ゲート(主に駐車場ゲート)を設置している組合 |
4、館内照明(電球)のLED化 | 共用部照明がLED化されていない組合 |
5、防犯カメラ運用の見直し | 防犯カメラが設置されている組合 |
6、その他維持にお金がかかる施設の廃止 | フィットネススタジオ、入浴施設、その他維持管理に費用が掛かる施設を持つ組合 |
見直し項目3、リモコンを要するゲートの見直し
駐車場のチェーンゲートやシャッターの開閉を手元のリモコンで操作するマンションがあります。
多くの場合、駐車場利用者に1個づつ渡すリモコンは管理組合のお金で購入された組合財産で、リモコンは管理組合から利用者に貸し出している形を取っています。
経年劣化により、10年ほどで全数を交換する必要があり、その際の費用は組合負担となります。
このリモコンを、利用者の買取とすることにより修理費や買い替え費用を抑制することが出来ます。
※個別リモコンを廃止し、壁付けの操作スイッチで開閉させるように変更することもできます。
リモコンに掛かる費用負担を検討する際に、併せて電動ゲートや電動シャッターの廃止も議論を行います。
電動のシャッターはモーターで動いており、消耗品であるモーターは定期的に点検および取替が必要になります。その点検、取替費用は管理組合から支出されます。
組合の財政悪化が続いているマンションは、電動シャッター撤去の検討も必要でしょう。
見直し項目4、館内照明(電球)のLED化
電気料金の値上がりが続いています。
マンションには共用部分の照明が相当量取り付けられており、照明に掛かる電気代の削減は取り組む価値のある課題です。
共用部照明のLED化には2種類の方法があります。
<LED化の種別> | <メリットのある組合> |
・電球のみLEDに交換する | →築25年以下で照明器具の故障が少なく取り替えされていない組合 |
・照明器具ごとLED化する | →築25年以上でこれまで照明器具の一斉取り換え工事を行っていない組合 |
LED化には、照明器具ごと取り換える方法と、電球のみをLEDにする方法の2種類があります。
照明器具は25~30年頃取り替え時期が来るため、築20年以下で照明器具の取り替えが必要のない組合は、LED電球に取り換えるだけで初期費用を抑えられ、電気料金の削減にもなります。
築20年以上で、将来的に照明器具自体の取り替えが控えている組合は、照明器具ごとLED化することを検討します。
照明器具の不具合が多発していない組合でも、築25年以上の場合は器具ごとLED化することで電気料金削減によるメリットを受けることが出来るでしょう。
LED化する際には、併せて可能な限りの照明の削減(電球の間引き)を検討し、さらなる省電力化を進めましょう。
ただし、マンションにはその箇所によって必要な照度があります。その照度を下回らない範囲で照明の削減をする必要があります。
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