マンション設備に関する支出削減 ③
今回の記事では、防犯カメラ運用を見直し、経費削減をどのように進めていくかを説明します。
昨今のマンションには防犯カメラが取り付けられていますが、設置や運用方法を見直すことで、管理費会計の支出削減が期待できます。
なお、設備を取り換えるまたは大規模な修繕を実施するなどの場合には、修繕積立金から支出されます。
費用削減検討項目リスト<管理費会計/設備編>
1、住戸内のガス漏れ警報器一斉取り換え | 各住戸内のガス警報器を管理組合の費用で全戸一斉交換している組合 |
2、機械式駐車場の平面化 | 機械式駐車場の稼働率が70%以下の組合 |
3、リモコンを要するゲートの見直し | リモコンを必要とする機械式ゲート(主に駐車場ゲート)を設置している組合 |
4、館内照明(電球)のLED化 | 共用部照明がLED化されていない組合 |
5、防犯カメラ運用の見直し | 防犯カメラが設置されている組合 |
6、その他維持にお金がかかる施設の廃止 | フィットネススタジオ、入浴施設、その他維持管理に費用が掛かる施設を持つ組合 |
見直し項目5、防犯カメラ運用の見直し
マンションに防犯カメラが何台設置されているかご存じですか?
何台のカメラがどの位置に取り付けられ、何台のレコーダーで録画されているか、その画像の保存期間など、把握されている所有者はごく僅かでしょう。
また、いつどのような時に録画画像を再生するのか、再生の有無や頻度を確認する機会も少ないでしょう。
その一方で、防犯カメラやレコーダーは修理や交換が必要になるなど、管理組合は維持費を支出しています。
まず、マンション管理組合が防犯カメラを所有する方法は下記の2種類です。
- マンションの資産として買取し設置している(買取)
- リース契約し設置している
買取、リース それぞれのメリット・デメリット
メリット | デメリット | |
買 取 | ・トータルコストが安い ・長期間使用すればするほどコストが抑えられる | ・初期導入費用がかかる ・故障や取替等で費用が発生する |
リース | ・初期費用が不要 ・修理、取替費用が不要 | ・月額リース料が発生する ・リース料の総合計が買取費用より高い |
リース期間はおよそ6年程度です。この期間はカメラおよびレコーダーに不具合が発生することは少なく、買取でも修理費がかかることは稀でしょう。
しかし、リース期間である6年を過ぎたあたりから、カメラやレコーダーの不具合発生頻度は上がり、特にレコーダーは5~8年の間で取り換えが発生するでしょう。
また、種類にもよりますが、カメラは10年ほどで不具合が発生しはじめ、設置から10年を過ぎるとレコーダーの2回目の更新とともにカメラの更新時期も来るでしょう。
おすすめ更新プラン
わたしの経験上のお勧めは、初期費用をかけてでも買取し、10~14年の間(レコーダーは取替しつつ)使い切るというプランです。
更新時 | 5~6年目 | 10~14年目 |
買取 | レコーダーの交換 | 全数カメラ・レコーダーの更新 |
リース期間満了の度に新しい機器に更新し、再度リース契約を締結することは、よほどお金に余裕のあるマンションの選択であり、一般の管理組合にはお勧めできません。
10年目ごろからカメラの不具合が発生してきた場合に、取替(買取)の検討を始めます。
現在リース中のマンションはどうすべきか
現在、防犯カメラをリース中の管理組合は、リース期間が終了後もそのまま防犯カメラを使い続けることで管理費からの支出を抑えます。
リース会社によっては、リース期間延長ができます。延長された期間中は月額リース料が大幅に安くなりますが、故障や事故の際の取り替えは組合負担となる場合があります。
また、防犯カメラ会社によっては、リース期間満了後は無料でカメラシステムを組合に譲渡する会社もあります。その場合も、出来る限り長く使い続けるとよいでしょう。
防犯カメラ設置後10年以降に取り替え時期が来た際には、次回の取替に向けて下記内容も併せて検討します
取替時期に併せて見直す項目
- 防犯カメラの数は適正か
- 設置位置は適正か
- カメラ数の削減でレコーダーは削減できるか
- 防犯カメラ利用細則を制定
まず、カメラの位置と撮影範囲を確認し、必要以上の防犯カメラが設置されているマンションは数量を削減します。
特に、複数のレコーダーが設置されていて、カメラ数台を削減すればレコーダーも削減できる場合は、カメラの数を減らすことで大きな支出削減が期待できます。
※レコーダーの台数は防犯カメラの台数に左右されます。そのためカメラ数が多ければ、レコーダーも増え、修繕や取り換えの頻度も上がり費用も高くなります。
そして、防犯カメラはいつ、どのような条件で再生し確認するのか、細則が定まっていない組合は、防犯カメラ使用細則制定を検討します。

まとまったお金がないため買取できずリースしているという組合は、直ちに管理費または修繕積立金の値上げを検討しましょう。

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