防犯カメラに写っていたものは!?

防犯カメラは厄介な存在

昨今のマンションには防犯カメラが概ね設置されている。

この防犯カメラ、管理会社の担当者にとっては少々厄介な存在だ。

個人情報の観点から、みだりにチェックするものではないし、カメラは管理組合の所有物であるから、管理会社の人間が勝手に視ることもできない。

というか、視たくないのだ。

防犯カメラを再生して視るには、それなりに時間がかかる。

考えてもみてほしい。1時間分の防犯カメラ映像は、定速で視ると1時間を要する。12倍速で視たとしても5分かかる。

その上、確認したい事象の発生時刻が定かでない場合、数日とか、1週間等の長時間分の録画を視ることになり、何時間もモニターの前から離れられないではないか。

そういう理由からも、管理会社は出来るだけ防犯カメラの確認を避けようとする。

防犯カメラを確認しろ!

以前、担当していたマンションの居住者から、防犯カメラを確認してほしいという依頼を受けた。駐輪場に止めていた自転車のカギを抜き取られ、いたずらをされたというのだ。

いたずらされた日時は不明だが、この1週間程度・・・・と言う。

でた・・・。これあかんやつ・・・。

まず、自転車にいたずらをされたなら、警察に届け出るよう依頼主に告げた。そして、警察が捜査のために防犯カメラの映像確認が必要ということになれば、警察立ち合いの下、再生しますと。

その依頼者は猛烈に反論してきた。警察に届け出るほどでもない。防犯カメラを見て犯人を特定してくれたらいいだけだ。何のための防犯カメラだ。なんのための管理会社だ!

防犯カメラの存在意義はさて置き、管理会社は犯人特定を業務とはしていない。その上、今回の依頼をまともに受けると、例え24倍速で確認したとしても最大7時間も拘束されてしまう・・。24倍速なんて早すぎて何も確認できないのに。

しかし、依頼主は納得してくれない。

仕方がないので、理事長に同席の下での録画確認を相談した。

不承認を期待したが、「仕方がないから視てあげて。わたしは立ち会わないけど・・・。」とかわされてしまった。

管理員さんと一緒にモニターを凝視する・・・

こうして映像を確認する羽目に陥ったが、私にとって労力削減は肝だ。

いたずらするなら夜間だと当たりを付けた。

残業をお願いして、管理員さんも確認に同席する。

1時間ぐらいじっとモニターを視続けていただろうか。問題の自転車に近づく怪しい人影を発見した。

あっ!緊張が走る。

倍速をオフにして巻き戻してもう一度視る。たしかに件の自転車に何かしているようだ。

緊張しながら成り行きを見ていると、その人影が引き返してきた。

その瞬間、防犯カメラは、犯人の顔をばっちりとらえていた。

依頼者の子供(小学生)だったのだ・・・。

報告をぼやかす・・・

管理員さんと相談して、「何も確認できませんでした。」と報告することにした。

特定できなかった代わりに「いたずらは、防犯カメラでばっちり映っているんですよ。」という張り紙を館内に掲示することで、依頼者には納得頂いた。

「お宅のお子さんでしたよ」と告げるべきだっただろうか。

張り紙は、「もうやめといてね。」という、小さな住人へのメッセージだった。

ちゃんと理解してくれたらしい。

[後書き]

とあるマンションで防犯カメラ画像を確認することになった際の、思い出を書きました。

防犯カメラは、活用しないに越したことはありません。落ち着いた良いマンションでは防犯カメラを確認する機会は少ないでしょう。防犯カメラに大金を投入することは慎重に・・・。

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