管理組合の将来を考える
マンションにも、人の人生のようにそれぞれの年代で発生するイベントがあり、大きな流れは変わりませんが、財政状況がそれぞれ異なり、マンションの行く末を左右します。
このため、マンションの築年数帯別の特徴とリスクをあらかじめ知っておくことで、今後起こるトラブルを回避するための対策を立てることが容易になります。
管理組合の現状を把握する
ご自身の所有するマンションが現在どのような年代に差し掛かっているのかを下の表で確認しましょう。
マンション築年数別の傾向と、注意事項
管理組合の状況はマンションごとに異なりますが、大まかな予定や陥りやすい危険性は共通しています。事前に知っておくことでリスクを回避できます。
新築~築15年 | 築16~30年 | 築31~45年 | 築46~60年 | 築60年以上 | |
築年数帯ごとの特徴 | 建物、居住者ともに若く安定している。 | 第1回目の外規模修繕工事で積立金が底をついたマンションは、積立金値上げの成否で後の財政状況が決まる | マンションにより財政悪化が顕著になるため、3回目の大規模修繕工事の未実施や、給排水管更新工事ができないままになる。 居住者の高齢化が加速する | この先のマンション維持についての話し合いが始まるが、建替え出来るマンションは少なく、協議は難航する 管理組合運営が困難になる組合が出始める | 建替え 取り壊し 修繕して使用 いずれかが決まる |
財政 | この時点での修繕積立金の金額が後の組合財政に与える影響が大きい 大きな支出が少なく、積立が進む | ‣漏水多発 ‣多数の修繕がかさむ ‣大規模修繕工事後のその他更新・更生工事ができない組合も発生 | ‣マンション保険高騰 ‣修繕積立金の枯渇 ‣組合の財政危機表面化 ‣3回目の大規模修繕工事ができない組合が増える | ‣財政悪化で工事が滞る ‣財政及び所有者に余裕があれば建替えに進む | ・健全 ・破綻 |
設備 ・ 施設 | ‣給水ポンプ等取替 ‣機械式駐車場部品交換 ‣第1回大規模修繕工事 | ‣EV更新工事 ‣給排水管更新・更生 ‣機械式駐車場更新または撤去 ‣第2回大規模修繕工事 | ‣給排水管更生工事が必須に ‣漏水多発 ‣玄関扉交換 ‣第3回大規模修繕工事 | ‣EV更新工事 ‣第4回大規模修繕工事 ‣建て替え決議 | ・建替え ・取り壊し ・修繕で維持 |
所有者 | 子育て世帯を中心の居住者 | ‣所有者の高齢化が進む ‣賃貸の増加 | ‣さらなる高齢化 ‣空き住戸の増加 ‣立地によっては世代交代が進む | ‣所有者不明住戸の増加 ‣管理費等未払いの増加 ‣一部のマンションは廃墟化 | ・高齢化 ・世代交代 |
築年数帯別 理事会で管理会社に質問し、確認したいこと
マンションがどのような状態にあるのかを、理事会で管理会社に質問し、説明を求めましょう。
質問例)新築~築15年のマンション
- 長期修繕計画書の詳しい見方
- 今後の修繕積立金の値上げ予測
- マンション管理組合の将来予測
比較的トラブルの少ない年代です。将来、発生する可能性の高い問題を把握し、早い段階から対策を立てて取り組む習慣をつければ、安心です
質問例)築16~30年のマンション
- 管理費会計および修繕積立金会計の現状と将来予測
- 長期修繕計画書で計画されている修繕で未実施になっている工事の数と金額および未実施の理由
- 機械式駐車場の利用状況推移と、採算性
- 採算の合わない施設はあるか
早い組合では、この年代で財政の悪化が始まります。現状の財政状況を把握し、対策を立て、実行します
質問例)築31~45年のマンション
- 漏水の発生状況
- マンション共用部火災保険の値上がり状況
- 長期修繕計画書で計画されている修繕で未実施になっている工事の数と金額および未実施の理由
- 修繕積立金会計の現状と将来予想
管理組合により、状況の差が激しく異なり始めます。まずは、財政状況の改善を目指しましょう
質問例)築46~60年のマンション
- 居住者の平均年齢および賃貸率・空室率
- 建替え、取り壊しその他の可能性とこれまで協議されてきたか
- 取り壊しにかかる費用の概算
- 再建築にかかる費用の概算
築40年ごろからは、マンションをいつまで維持するのか、話し合いを始める必要があります
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