管理組合のマンション保険料を抑えるには
保険内容を見直したら、今後の保険料抑制のために検討すべき対策が次の2点です。
共用部給排水管更新工事を実施する | 築30年を過ぎた組合は、検討を開始する |
少額の保険請求に注意する | 少額の復旧費用を保険で賄うことには慎重に行う |
共用部給排水管更新工事の実施を検討する
共用部給排水管更新工事とは
マンションの建物内には人体の血管のように給排水管が巡らされています。
上階から下階まで縦につながる縦管や、各住戸前までに接続する横管が共用の給排水管です。
この配管を新しくする工事を共用部給排水管更新工事といいます。
共用の給排水管に対して、住戸内(ほとんどは床下)に張巡らされる給排水管は住戸専有の付属物です。住戸の給排水管からの漏水は、所有者の責任で漏水調査~修繕~被害住戸への補償がされなければなりません。
高経年マンションの保険料割引率で査定対象となるのは、「共用部の給排水管の更新工事」です。
この「共用部の給排水管の更新工事」で問題となるのは、その費用です。
管理会社が作成する「長期修繕計画書」や「共用部の給排水管の更新工事見積書」の中には、各専有部(住戸床下)給排水管の更新工事費用が含まれているため、工事費用が莫大な額になっているものがあります。
資金に余裕があれば、専有部給排水管も同時に更新することでマンション全体の漏水問題の解決になりますが、本来専有部の給排水管更新は個人の費用負担において行うべきとされています。
組合にお金がないため給排水管更新工事が実施できていない場合には、共用部の給排水管だけでも更新を実施する検討を始めてください。
専有部も併せて行う場合には、それにかかる費用を各区分所有者から別途徴収することも可能です。
注意点として、築30年を超過すれば漏水は頻発する傾向にあり、共用部の給排水管のみ更新しても更新工事を行わない専有部からの漏水に悩まされる可能性があります。
なお、保険料割引対象になるかどうかの確認は必要ですが、給排水管を更新(新しくする)のではなく、更生工事(現状のものにライニングなどをしてよみがえらせる)が選択できる場合があります。更新に比べ費用が抑えられます。
- 長期修繕計画書中の「共用部の給排水管更新工事」予定額の中に専有部の給排水管更新が含まれていないかを確認する
- 修繕積立金に余裕がなく、給排水管更新工事ができていない組合の中で、工事金額に専有部給排水管更新工事が含まれている場合は除外した見積もりを取得する
- 更新工事だけではなく更生工事の見積もりも取得し、検討する
更新工事については、その範囲、時期、費用負担、工事方法など、管理組合で検討を始めることが重要です。
少額の保険請求に注意する
現在、保険各社が保険料査定のために行う事故率算定期間は、保険開始日6か月前から過去2年間となっています。
この期間内に保険請求を多数してしまうと、保険料が高騰してしまう場合があります。費用対効果を念頭に保険請求を行いましょう。
「保険適用されますから管理組合の持ち出しはありません」と管理会社に保険適用修繕を提案されても、後々の保険料に跳ね返ることを知っておきましょう。
自動車保険と同じですね。
また、単年の理事や理事長だけがこの事実を知っていて保険請求を控えたとしても、後任が知らなければ多数の少額請求を行ってしまう可能性があります。情報は所有者全体で共有することが大切です。
もちろん、保険を掛けているのですから必要な場合には保険を利用して復旧させます。
これまでのように保険は使い放題!という時代は終わりました。戸数の少ないマンションは特に注意が必要です。
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