作成を巡って様々な悶着が起きる管理組合の議事録
だれもが書きたくない!理事会の議事録
マンションでは年に最低一度の集会(総会)開催が区分所有法で義務付けられている。
総会以外にも、1-2か月に一度の割合で理事会が行われるのが一般的だ。
これらの会議で話し合われた内容や結果は議事録にまとめられ、遡って確認できるように備えられる。この点で会社やその他の組織と同様だ。マンション管理組合の議事録が一般社会と異なるのは、その作成をめぐりしばしば悶着が起こる点である。
一言一句書き起こせ? マンションのモンスターが要求する議事録
私のかつての同僚は、某管理組合の臨時総会に関して、録音のうえ「一言一句書き起こして議事録として提出」するよう所有者から要求された。その臨時総会は5時間にも及んだ。私も手伝ったが1時間分を反訳するのに10時間以上掛かった。単純計算で、この臨時総会の議事録作成に50時間以上が費やされたことになる。
さすがに、管理会社も放置できず、その後、管理組合と締結する管理委託契約の中に、“「文字起こしの」のような議事録は作成しない”と明記するようになった。
管理会社の担当者にもツワモノが
一方、管理会社の側にもツワモノはいた。別の同僚の話だが、彼は理事会及び総会の議事録を半年間以上全く書いていなかった。
大野:「何件書かなあかんの?」という私の質問に、
同僚:「80件くらいかな・・・100件はないと思う」
大野:「それ、いつからのやつ?」と問うと?
同僚:「半年以上前ですかね。1本20分で書いたとして、26時間以上ですよー。何日かかるんだ・・」
1本20分で書けるか?何日かかるか?はさておき、半年分80件の議事内容を記憶しているらしい同僚に私は羨望の念を抱いた。
だが、半年分の議事録を一度に提出され、理事らが抱いたのは疑念だけだったかもしれない。
脅してでも書かせたい?!
某管理組合では議事録は書記担当理事が作成する慣例となっていたが、ある時、私は
「議事録は管理会社の担当者が書け。」と理事長から命じられた。
さらに、理事長は“管理会社好感度ランキング”なる記事を持ち出し、
「あんたたちよりランキングが高い管理会社が10社もある!変更してもいいんだよ。」
と続けた。
これには、わたしも絶句した。
わざわざ「好感度調査」を持ち出したり、リプレイスをちらつかせて脅すほど、議事録を書くのはうざいのか?!
売り言葉に買い言葉で、私は
「好感度の高い管理会社に変えることは簡単にできます。お望みならどうぞご検討ください。」
とタンカをきってしまった。
しかし、マンション管理のプロとしては、管理組合自らが議事録を記す意義を説明すべきであったろう。
議事録作成は管理運営の核心部分
理事会や総会で決議に至った経緯と結果を記録するのは、マンション管理が適切かつ効率的に運営されるためであり、また、管理の活動を現在と将来の区分所有者に説明できるようにするためである。
要するに議事録はマンション管理組合の民主的運営の核であると言え、第三者に任せるべき性質のものではないのだ。
例え好感度の高い管理会社と委託契約したとしても、この問題からは逃れられない。
参考記事 ▶理事会議事録の書き方(サンプル付)
あとがき
管理会社により、一人で20棟以上のマンションを受け持つ担当がいる。
毎日のように理事会に追われていると、議事録作成はすぐに追いつかなくなる。また、担当者は議事録を書くために頭の中で理事会を再現したくないという思いからか、議事録作成はとても億劫な作業になってく。
そのような担当者が出す議事録は、当然中身の薄い「いい加減」なものになりがちで、重要なことが記載されていな可能性が大いにある。
マンションにとって議事録は議論の経過を未来に残す重要な文書です。疲れ果てた投げやりな人に任せて済ますようなどうでもよい資料ではないことを理解すべきなのだが・・・。
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