見積参加を依頼し、合い見積もりを取得する

 大規模修繕工事の「仕様書」完成させた後、工事会社を選定し見積の参加を依頼します。

 この記事では、合い見積もりを依頼する工事会社の選定~見積取得~工事会社選定の流れをご説明します。

  ▶前回の記事「工事範囲を決定する~大規模修繕工事の進め方~」はこちらから

見積もりの依頼~工事会社選定の流れ

何社に見積もりを依頼するか

 現在、工事会社は人手不足により見積もりに割く時間が限られています。あまりに多くの競合(=見積参加会社)がある場合には、見積参加を見送るまたは形だけの見積もりに済ませることが予想されます。

 マンションの規模(大規模修繕工事の規模)により見積参加企業数を絞ることをお勧めします。

どのような会社に見積もり参加を依頼するか(事業者の条件を整理する)

 大手の管理会社では、大規模修繕工事の発注先を企業規模や技術者の在籍人数、過去の実績、経営状態などから選定するようアドバイスします。

 しかし、このような選定方法では見積参加企業のハードルが上がり、常に同じような施工会社から見積もりを取得することになります。

 数百戸規模のマンションで1億を超える修繕を行う場合は良いのですが、70戸以下の中~小規模なマンションが大手に発注するメリットはあまりないと考えられます。

 大手に発注しても、小規模な修繕会社が下請けや孫請けとして実際の工事は行うことがほとんどだからです。

 中小の工事会社から良心的な会社を見極め発注することが工事費の低減には不可欠です

 特に、分譲マンションの修繕実績が少ないとしても、ワンオーナーのビルや賃貸マンションの大規模修繕工事を受注している工事会社は実力と実績を伴っていると考えられます。

 以下は、見積を依頼する際のチェックポイントです

  • 過去3~5年に同程度のマンション(賃貸を含む)の修繕実績があるか
  • 経営状況(赤字計系が続いていないか)
  • 現地確認に来てくれるか
  • キックバック禁止の誓約書を提出してくれるか

見積もり中の対応と見積取得の方法

 見積に参加してくれる工事会社へは、見積提出期限と問い合わせ窓口を連絡します。コンサルタントが入っている場合は、コンサルタントが窓口になります。

 仕様書への質問などを受けた場合は、他の見積もり参加企業にも質問内容と回答を伝達します。見積もり内容に差が出ることを避けるためです。

 見積もりが期限内に出揃った後、理事会または修繕委員会にて一斉開封し、見積の内容を確認します。

ちいさな管理

大規模修繕工事をサポートします。詳しくは下記ページをご覧ください

最新の見積もり取得方法

 見積もり参加会社の選定は、大規模修繕工事の明暗を分ける重要なポイントの一つと言えます。

 多くの(あまり多すぎない)良心的な工事会社に見積参加してもらうことで、妥当な工事費用を把握できるからです。

 これは管理組合のみで行うには非常に労力が必要でハードルが高いと感じることでしょう。

 しかし、最近ではこの業務を代理してくれるWEB上でのサービスである「マンション修繕なび」が開発されています。(2024年2月現在は関西地域のみサービスを提供)

 単なる見積もり一括サービスとは異なり、組合が安心して見積もりを依頼できるシステムではないかと推測しています。

 このようなサービスを活用することで管理組合の負荷が低減されます。

 見積もり先の一つをこのようなサービスから選択してみてもよいでしょう。 

見積もり合わせ・・どこを見るか

 見積もりが出揃ったら、価格以外に下記のようなポイントをチェックしてください。

 価格だけで決定しないことが大切です

  • 仕様書に従った価格を記載しているか(まとめて●円などになっていないか)
  • 数量を「一式」などのように表示していないか
  • 施工費をまとめて表示していないか
  • 諸経費は10%以内か  
  • 管理組合に有益な工法変更などが提案されているか
  • 管理組合に有益なコスト削減案が提案されているか
  • 仕様書にはない有益な修繕提案がなされているか など

 これらを見極めるためには専門家のアドバイス等を活用することが推奨されます。(専門家の見極めも慎重に行ってください)

 見積もりから工事会社の候補数社を選定後、大規模修繕工事のプレゼンを行うこともあります。

 プレゼンは慣れている会社が有利になり、工事の良し悪しの判断が難しくなる可能性もあり、一概に有益とは言えません。

 プレゼンがなくとも、見積のための現地確認の様子や「仕様書」に関する質問の有無などからも、工事会社の姿勢(熱意)は判断できるものです。

現在進行中のサポート一例

現在、ちいさな管理でサポートしている管理組合運営サポートの一例をご紹介します

 1,一級建築士による建物の簡易診断

 大規模修繕工事時期がすでに到来しているのであれば、高額な「建物劣化診断」は実施せず、一級建築士による簡易診断で費用で支出削減を行います。

 記事:「建物の劣化状況を診断する」をご参照ください

 2,大規模修繕工事のための概算工事費の取得(一級建築士対応)

 大規模修繕工事には相見積もり取得が必須です。公平な相見積もりの取得ができるように概算工事費を作成します。

 3,大規模修繕工事実施に向けた修繕積立金シミュレーション作成

 修繕積立金は単に値上げすればよいというものではありません。2倍、3倍と大きく値上するのではなく、複数のシミュレーションを基に値上げ幅を慎重に検討し、今後取るべき費用削減策の検討も同時に行います。

 4,修繕積立金改定の実施・・・

 5,長期修繕計画書の作成・・・

マンション管理士、マンション会計のエキスパート、一級建築士がチームで、必要に応じたサポートを致します。

<特集>手順を踏めば組合でできる!~大規模修繕工事の進め方~
 大規模修繕工事をコントロールすることは、長期的なマンション運営の明暗を分けると言って過言ではありません。
 この特集では、管理組合が大規模修繕工事を主導するために、手順のひとつひとつを丁寧にご説明します。

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