押し付け合いが半端ない!理事長選のトホホ話

理事会で最も不毛な議論は・・・

理事会で最も不毛な議論は理事長の選任に関するものだ。

理事長は、総会で決議された事案を遂行する。

日常に起こる管理ついての問題は、理事会決議を経て対応する。

総会または理事会で決めたことを実行するのだから、一人で責任を負うような役回りではない。

ところが、理事長職を積極的に引き受けるマンション所有者は珍しく、ほとんどの場合、第一回理事会はいかにして理事長職を回避するかで白熱する。

大野「まずは、どなたか理事長をお引き受けくださる方はいらっしゃいますか?」

理事一同「・・・」

大野「それでは、くじ引きで役職を決めましょうか?」

理事A「私は前回理事長をやったから、今回の理事長くじ引きからは外してくれ。」

理事B「いや、全員のくじ引きで決めるべきだ。」

理事A「前回やったのだから理事長は絶対にしない。」

理事C「わたしも、理事長が当たってもできない。」

このようなやり取りが、時に2時間以上続く。

理事が欠席の場合はどうなるか・・・

某管理組合では、理事就任は輪番制で、それぞれの役職は「あみだくじ」で決める慣例となっていた。確かに単純明快ではある。

ある時、役職決定の場に理事一名が欠席したことがあった。

欠席であっても、「あみだくじ」から逃れることは出来ない。

「欠席の理事に文句をつけられないように、くじ引きを動画に撮っといて!」と一人の理事がわたしに指示した。

私はスマホで撮影しながら、「神様!どうか欠席した理事が理事長に当たりませんように!!」と祈った。

役職決定の場に欠席する方は、理事会への出席率も低く、理事長が毎度欠席という状態は理事会運営に支障をきたすからだ。

しかし、私の願いは聞き届けられなかった。

わたしは、「役職決定の場にいなかった方に理事長に決まりましたとは言えません。皆さん自身で本人を説得してください。」と理事長職から放免され安堵している理事たちに伝えた。

すると、副理事長を引き当てた理事がその場で電話を掛け始めた。

そして、「公平な『あみだくじ』であんたが理事長に決まったよ!ちゃんと動画も撮っているから、疑うなら管理会社の人に見せてもらってね!」と欠席理事に引導を渡した。

理事長が忌避される理由

なぜ、理事長職はこれほど忌避されるのだろう。

理由の一つに、管理組合員からの「影での批判」があるとわたしは考えている。管理組合員はマンション所有者のことであり、要するにご近所さんだ。

ご近所さんから理不尽な批判にさらされたり、その光景を目の当たりにすると、理事長職は「割に合わない」となって当然だろう。

わたしの知る元理事長に、大規模修繕工事で工事費の大幅減額を実現したにも関わらず、ご近所さんから身に覚えのない嫌疑をかけられ、陰口をたたかれた結果、マンション住まいに嫌気がさし部屋を売却され出て行った方もいる。

理事長選で分かる組合の力

理事長選一つを見るだけで、住民がお互いに運命共同体だと自覚してマンション管理に参加しているかうかがい知れる。

ぜひ、あなたのマンション管理組合の現状についても次の役員選出の場で確認してみてほしい。

掲載:株式会社ビル新聞社

あとがき

 この記事を読んだビル新聞社の社長から、

「大野さん、この話本当の話なの?こんな面白い経験してるの?」

と嬉しい感想を頂いた。

 ただ、この理事長選の話はそれほど珍しいことでもなく、面白い話だともわたしは思っていない。

 「マンション管理あるある」の一コマだからだ。

 理事長を決めるために1時間以上理事会が硬直することもざらにあるし、神のいたずらか、欠席理事が理事長を引き当てることも何度かあった。

 ただこのコラムの理事会のように、あみだくじの様子をスマホで録画しろと言われたのは一度だけだった。

 欠席理事が納得しないかもしれない”怖れ”を十分理解した理事からの提案だったのだ。

 ここまでくると、「擦り付け合い」という言葉がふさわしいだろう。

 そして、この擦り付け合っている理事長職は、自分たちの資産管理を担う重要な役目という事実を、皆さんお忘れのようだった。

 理事長は「誰がなっても同じ」ではない。

 管理会社は”誰が理事長に就任するか”を注視している。

 理事長は管理組合の砦なのだ。

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