駐車場をサブリースする
前回の記事では、自動販売機・携帯基地局・看板等を設置すことにより、管理費収入をアップさせる方法や注意点を書きました。
今回は、管理費会計収入アップ対策として、駐車場の空き区画をサブリースに貸し出すことを検討する際のポイントと注意点を説明します。
管理費会計収入アップ項目リスト
1、使用料の値上げ:駐車場使用料 | 共用の駐車場がある組合 |
2、その他使用料の値上げおよび有料化 | 駐輪場・洗車場・フィットネスルームなどを所有する組合 |
3、収益物の設置(自動販売機・携帯基地局・看板等) | 外部業者から設置依頼がある組合 |
4、駐車場空き区画をサブリースする | マンションの駐車場が一定数空きがある組合 |
使用料の値上げ:駐車場使用料 ≫
駐車場のサブリースとは
駐車場のサブリースとは、管理組合が所有する共用駐車場の空き区画の一部をサブリース業者に貸付け、毎月の収入を得る仕組みです。
サブリース業者は、借り受けた駐車区画をマンション居住者以外に貸付け、賃借料と転貸借料との差額を利益とします。
駐車場サブリースのメリット・デメリット
駐車場サブリースの主なメリットとデメリットは次の点です。
<メリット> | <デメリット> |
・利用されない駐車場から毎月収益をあげられる | ・居住者が支払う駐車場月額使用料よりも安い価格で貸し出すことになる場合が多い |
・マンションによっては収益が大きい | ・居住者以外の利用者がマンションに出入りする |
・サブリースした駐車区画の管理はサブリース会社が行う | ・サブリース料金値下げ、解約される可能性がある |
・管理組合側が駐車場区画を必要になった場合は、返却してくれる(契約による) | ・サブリース区画利用者のマナーが懸念される |
空き駐車区画から毎月一定額の駐車場賃貸収入を得ることが出来るため、管理組合会計の収益アップにつながります。
しかし、サブリース業者が貸し出す駐車場の月額料金は、マンション居住者が支払う月額使用料より安く設定さることがあり、その料金の差が問題になることがあります。
また、最も拒否反応が強い点は、居住者以外の利用者がマンションの敷地内に入ってくることです。
リモコンを使用したオートゲートが設置されているマンションでは、特に不安がられることが多いです。
サブリース導入に適している組合
駐車用のサブリース導入を検討すべき管理組合の特徴は下記4点です。
- 高値でサブリース(貸し出し)することが出来る=周辺の駐車場需要が高い
- 管理費会計が赤字
- 長年、駐車場に一定数以上の空き区画が発生している
- 空き区画の数が年々増えている
サブリース検討時の注意点
- サブリース業者が借りてくれることが大前提
- 周辺地域の駐車場需要によりリース料金が大きく異なる
- サブリースでの収益は課税対象となり、税の支払いや申告業務が必要になる
- 税金や税の申告業務費用を上回る収益をあげる必要がある
- 機械式駐車場の場合、居住者以外に操作キーを貸し出す必要がある
- 次回契約更新があるとは限らない(需要がなければ契約継続されない)
まず第一に、マンションが立地する地域に駐車場需要があり、貸出すれば借り手がつくとサブリース業者に判断されなくてはなりません。
駐車場需要が高い地域に立つマンションの管理組合が、サブリースに適しています。
また、屋根がある、ハイルーフが駐車できる、大型車が駐車できるなどの利用条件も、サブリース料金に反映されます。
それらはすべてサブリース業者が査定しますので、複数のサブリース業者に見積もりを依頼しましょう。
サブリースには限界がある
これらの問題をクリアーしたうえで、サブリースを導入しても問題が解決されたわけではありません。
マンション周辺の駐車場需要に変化があれば、貸出区画の縮小、リース価格値下げ、契約終了されることなどが考えられます。
このため、一時的に収益が上がっていても駐車場の利用率低下やサブリース契約料金の低下が進めば、管理組合が財政難に陥る可能性があることを常に念頭に置かなければなりません。
また、機械式駐車場のサブリース中に故障が頻発すれば利用者離れが起こるために、抜本的な駐車場修繕の必要が発生するかもしれません。
サブリース収益がなければ管理費会計が赤字になる組合は特に注意が必要です
サブリースの次は駐車場縮小・廃止の検討を
サブリース開始は、居住者の駐車場需要縮小が原因ですので、貸出後は、サブリース契約終了後を見据えた対策の検討を直ちに開始してください。
例えば、機械式駐車場では一部または全部の取り壊し・平面化などです。
マンションの経年とともに駐車場の需要はより一層減少すると予想されます。縮小・廃止に向けて議論を始めましょう。
駐車場使用料の値上げ、駐車場の廃止記事は下記をご参照ください
管理組合財政改善をサポートします。詳しくは下記ページをご覧ください
初回ご相談は無料です