遅れてきた大型はしご車が教えてくれたこと

マンションで消防訓練 やってますか?

消防訓練、実施していますか?

毎年やっているよというマンションも、そんなのしたことがないというマンションもあると思う。かく言うわたしも、マンション担当者として管理会社で勤める間に、消防訓練の実施はそう多くなかった。

しかし驚くべきことに、消防署は年に2回も訓練を実施するよう指導している。消防署いわく、「もう飽きたわ!」というほど訓練してようやく実際の火災時に役に立つのだそうだ。

以前、わたしが担当していた大型のマンションで、「今期は消防訓練をしようか」という話になった。

準備は万端!消防訓練

そのマンションの管理員さんは優秀で、訓練届け出から当日の準備まで問題なく切り盛りしてくれるので、わたしも安心だ。理事会で議論して、「久しぶりにやってみよう」と決まった。

消防訓練をマンション単独で開催しても、住人の参加はあまり振るわない。数年ぶりの訓練だからと管轄の消防署に訓練への参加と指導を打診した。

消防署は訓練参加を快く引き受けてくれた。当日は大型はしご車で来てくれるという。それも、その市に1台しかない、最新の14階まで届くはしご車だ。その上、購入したばかりらしい。

せっかくなので、はしご車での救出訓練も実施しようということになり、14階にお住いの理事に、はしご車に乗り移る訓練を引き受けてもらった。

また、消防署が水消火器を持参し、使用を体験させてくれるというので、わたしも、ポケモンのキャラクターを使った「消火の的」を手作りして、訓練盛り上げに一役買った。

このように準備万端で当日に挑んだが、想定外のトラブルが起こった。

消防車がなかなか来ないのだ。

はしご車をねじ込む

通常の火災訓練(火災ベルを鳴らし、居住者が階段を利用して1階にある敷地の広場まで避難してくる)はとっくに終了してしまった。

14階の理事もはしご車に乗り移る救助を諦め、自力で1階まで避難した。

消防車を待つ子供たちは大いに退屈している。

何より、こんなに消防車の到着が遅ければ、マンションが焼け落ちてしまうではないか!

何故これほど駆け付けるのに時間が掛かるのか?

理由は、はしご車が大き過ぎたのだ。

自慢の最新車両は、マンション前の二車線の道路から敷地内に入ってくることができず、何度も切り返して侵入する方法を模索していた。この間、付近は大渋滞となった。

理事長や理事会の役員さんたちもやきもきする中、消防署員が交通を誘導し、巨大なはしご車はようやく敷地へ侵入してきた。予定から一時間遅れのことだった。

消防署員によると、訓練で確認できた侵入経路をデータとして保存しておくことで、実際の火災時にスムーズに到着することができるそうだ。消防署としても大型はしご車が使えるマンションであるか確認でき、大変重要な訓練ができたということだった。

マンション管理組合にとっても、ボヤを出したら大変なことになるとの認識に至る貴重な訓練になった。

わたしは、あらためて訓練の意義を知ることができた。

ビル新聞連載コラム 第7話

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あとがき

大型消防車両がマンション敷地内に進入するために1時間も時間がかかる。その上、道路が大渋滞する・・・。消防訓練を実施する前には思いもよらないハプニングでした。

しかし、実際の火災の際には大型のはしご車を出動させる可能性が高い大型マンションだったため、消防署はあきらめずに侵入経路を探したのでしょう。

大型のはしご車がマンション前で右往左往する様子を、マンションの方もご近所の方も、固唾をのんで見守っていましたが、ようやく敷地内に入ってきたときは、一同安堵の歓声がもれました。

それにしてもそのはしご車は大きくて、圧倒されました。

このマンションは、当時わたしが担当していた中では戸数がダントツに多く、大規模修繕工事や大型の災害復旧を経験させていただきました。

また、理事長をはじめ理事の皆さんは、積極的に管理組合活動に参加くださった印象があります。

この先も、主体的なマンション運営を続けられることを願っています。

ちいさな管理

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