警察出動!問題夫婦の粗大ごみ事件

お騒がせ夫婦、退去時も・・・

 夫婦喧嘩で消防車を呼んだマンション住人を前回ご紹介したが、彼らは退去の際も規格外であった。

 ある朝、管理員さんから携帯電話に連絡が入った。
「ゴミ庫の中に納まりきらないほどの家具や家電が捨てられている!捨てられた家具で、ゴミ庫にゴミが入らないどうしようか・・・」と管理員さんが困り果てている。

 直後に、同マンションの理事長から着信があった。
「昨日の日曜日に“例の”住人が引っ越し作業をしていて、ゴミ庫に大量の粗大ゴミを捨てて行った!」

 かくしてわたしは月曜の朝一から、件のマンションに駆け付けた。

ゴミ庫への投棄、まずは出し主を探し出す

 ゴミ庫内を確認すると、プラスチックケースや組み立て家具、はたまた家電までが積み上げられており、他のゴミを入れる隙間もない。

 理事長が目撃してはいるが、了解を得た上で防犯カメラを念のため確認する。複数人で家具を持ち出して何往復もする例の居住者の姿が映っており、出し主はすぐに特定できた。

 部屋に伺いベルを鳴らすも、何の応答もない。

 ゴミ庫の家具はすべて粗大ごみであり、有料で処分されるものだ。出し主が分かっている以上、管理組合で費用を負担することは出来ない。

 私は、マンションを管轄している警察に電話を掛けて、どうすべきか相談してみることにした。

警察官出動!

 驚くことに、ものの10分もせずに地域の警察官が駆け付けてきた。

 状況を説明すると、出し主に電話してくれるという。

「え?!ほんとに?」わたしは心の中で叫んだ「(たすかる!)」

しかし、居住者の個人情報(電話番号)を警察に伝えることは、管理会社の担当者として慎重であらねばならない。

大野(わたし):「電話番号は・・・ちょっと・・。」
警官 :「大丈夫です。〇×の電話番号は知っています。」
大野:「はぁ??」
警官 :「〇×の携帯電話はわかっていますので、掛けます。」

驚く私の隣で警官は携帯から電話を始めた。

警官 :「今すぐコンビニで処分券を購入して、ゴミ庫から撤去するように。管理室にいるからすぐに来なさい。」

 ほどなくして、不在だったはずの居住者の妻が管理室まで降りてきて、警察官と一緒に粗大ごみ処分券を買いに行った。

 さらに、警察官は市の環境局に電話をして、粗大ごみ回収の段取りまでつけてくれた。原則、回収には1週間以上かかるが、警察が依頼すれば翌日には来てくれるという。

 警察官はアッという間に問題を解決して帰っていった。

本来は、管理組合の仕事だが・・・

 この住人はマンション内で騒動の中心として活躍していたが、地域でも様々な問題を巻き起こし住所や電話番号を警察に握られていたのだった。

 本来、マンションのトラブル解決に際しては管理組合がその力量を発揮する必要がある。粘り強く撤去を求めるのが管理組合の役目だ。

 仮に管理組合が廃棄物処分を肩代わりしても、その費用を当事者から回収しなければならない。管理組合の毅然とした態度は、再発予防の観点からも居住者に対するアピールとして有効だ。

 しかし、民事不介入とはいえ、警察が片付けてくれることもあるという、希少な経験となった。

掲載:株式会社ビル新聞社

あとがき

 この日、マンションに駆け付けてくれたのは若い女性の警察官だった。

 理事長立会の上えで警察官と防犯カメラ映像を確認後、すぐに「電話します」と言ってくれた。

 驚く私を横目に、携帯を取り出し電話を始めた。どうやら居住者の電話番号は、警察官が所持する携帯に登録されているようだった。

 「なぜ、電話番号を知っているのですか?」と問う私に、

 「〇×はこの辺りでは有名です。」とだけ教えてくれた。

 警察官は、件の居住者の妻と隣のコンビニに向かい、粗大ごみシールを貼るまで指導し、環境局へ電話を入れて去って行った。

 その、素早い処理に「かっこいい!」と、同性ながら惚れ惚れしたものだった。

 しかし、これで懲りるような居住者ではなかった。

 退去日に車のタイヤ2本をマンションのエントランス前に捨てて行ったのだ。

※この投棄物はすでに退去した後だったため、部屋の賃貸仲介業者により撤去された。

 退去完了後は、ふたたび静かなマンションが戻ってきたが、賃貸人に部屋を貸し出すことを管理規約で禁止できないか?!など、理事会で再発防止策が議論された・・・。

 ※所有するマンションの部屋を賃貸に出すことは所有者の権利として認められており、その権利を管理規約で禁止することは出来ません。 

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