管理会社フロントマンの変更、実は・・・?

凄腕フロントマンの出禁

管理会社時代に、マンション担当者歴数十年という、エキスパートなマンション担当者がいた。

大変穏やかでかつ知的な方で、課内では“マエストロ”と呼ばれていた。

わたしも尊敬するそのマエストロがまれに、マンションの管理組合側から“出入り禁止”を言い渡された。

ここで言う“出入り禁止”とは、管理組合から担当者変更を要求されることだ。それも変更を余儀なくされることを指す。

管理組合から「担当者変更」を要求されることは決して珍しくない。しかし、組合の申し入れをのんで変更していたのでは人員が回らないため、担当を変更することはそうない。

にもかかわらず、短期間で複数回も担当者変更になったのだ。

マンション管理の巨匠、出禁もスゴ技?!

もちろんマエストロは、管理組合運営の困難なマンションを担当することが多い。

それらマンションの多くがリプレース(管理会社変更)で管理委託され、早々にリプレースして去っていく。

そのようなマンションは当然のことながら管理会社を全く信用していない。

管理会社の担当者に対し「オマエラゴトキガ」など大人とは思えぬ発言をためらわない理事がいるなど、理事会もアウェー感がハンパない。

わたしは以前尋ねたことがある。

「いったい何を言ったら即出禁になるんですか?」

マエストロからは、

「わからん、なんか気に入らんことを言ったみたい・・・。」という返答だけだった。

しかし、わたしは訝っていた。

マエストロは “わざと出禁になっているのではないか?” と。

なぜなら、マエストロが出禁になったマンションは、その後誰が担当になろうと上手くいかず、結局はリプレースになるマンションだったからだ。

マエストロは、1~2回の理事会でそのマンションに見切りをつけ、相手から出禁を言い渡すような決定的な一言をわざと言っているのではないのか・・・。

その技、名付けて「出入り禁止」。

度重なる管理会社変更(リプレース)の弊害

しかし、マエストロの口から「見極めて、出禁になるようなことを言っている」とは、聞きだすことはできなかった。

リプレースを繰り返す組合は、管理会社に「要注意」として扱われ、管理委託費が高額になっていくだろう。

大手と言われる管理会社や、管理を丁寧に行うことをモットーとするような管理会社からは見積もりさえ拒否される可能性もある。

昨今の管理会社は、担当者の疲弊を重く受け止め始めている。ちゃんとした管理会社は社員教育にそれなりの費用を費やしており、その社員に罵声を浴びせるなどしてすぐに退職に追いやるような所有者がいる組合は、割に合わないと見なすようになったのだ。

例え一部の所有者の対応であったとしても、所有者すべてが不利益を被ることを忘れてはならない。

マエストロは、そんな管理組合の性質を一瞬にして見分けているに違いないのだ。

マンション担当者の寿命は短い。ゆえに長年経験を積んだ人材は貴重で、管理組合にとってもメリットは大きい。

よい担当者を希望するなら、罵声を浴びせるのではなく、管理に関する知識を身に着け、ともに知恵を出し合えるようになることが必要なのだ。

掲載:株式会社ビル新聞社

あとがき

 マンション担当者(フロントマン)の”人当たり”で、マンション管理会社の良し悪しを決めてしまう方が非常に多い。

 もちろん、担当者は管理会社の社員であるため会社の意向を汲んだ上でマンションに働きかけを行っている。

 ある人は、インセンティブのために組合の利益を害することをためらわなかったり、出世にまい進するあまりに不信を買ってでも強引な工事をさせたりする。

 それは管理会社の体質であり文化ともいえるものだ。

 会社が露骨に命令せずとも、「忖度」するものだ。

 しかし、会社の意向を知りつつも何とか管理組合のために動こうとする担当者も多いはずだ。

 今回のマエストロもそのような方だった。

 端的に言えば、「欲がない」方だとわたしは感じていた。

 運営能力には申し分なく、欲深くもなく、穏やかでかつ毅然とした姿は、マンション担当者としてお手本にすべき存在だった。

 それゆえに、「出禁」にしてしまうマンションには、もったいないなー と思ったものだった。

 欲に目がくらんだ担当者であるかどうかなど、すぐに判断できるはずなのだ。

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