23年ぶりの大改正となる区分所有法に潜む“落とし穴”

区分所有法とは

5月23日、改正区分所有法が成立した。実に23年ぶりとなる大改正だ。(施行は2026年4月1日)

区分所有法とは、マンション等区分所有建物の権利や管理・利用方法などの基本的なルールを定めた法律。組合の管理規約の土台となる法律で、組合運営に大きな影響を与えるものだ。

改正内容のなかでも、組合運営にかかわる特に重大な変更点のひとつが「出席者多数決制度」の導入だ。

改革の目玉!出席者多数決制度とは

出席者多数決制度とは、総会出席者(委任状および議決権行使書を提出)を基準とした多数決で決議できる仕組みだ。(一部議案は除外)

例えば組合員数が100の組合の場合、これまでは特別議案と呼ばれる4分の3以上の賛成票を必要とする議案の可決に、75の賛成票が必要だった。ところが法改正により、同上の組合で出席数が60だった場合、特別議案でも45の賛成票で足りるようになり、議案可決のためのハードルが大幅に下がる。ちなみに、この決議には区分所有者および議決権総数の過半数の総会出席が必要だ。

このように、組合の運営や管理を円滑に行うために可決に必要な数の分母を減らすことを認めたのが、今回の改正の重大な変更点だ。

出席票集めのトホホ

私がかつて管理会社でマンション担当者をしていたある年、担当する大きなマンションの総会で、4分の3以上の賛成を必要とする特別議案が上程されていた。

その組合は、当該マンション以外に居住する組合員が多く、総会の出席率は60%程度で、いつも通り開催しても可決はおぼつかなかった。担当者である私は出欠票を取り付ける必要に迫られた。

管理員さんは、マンションに居住しながらも出席票を提出しない組合員の部屋を何度も訪問し票を集めて回る。私は外部に居住する組合員に電話で提出を依頼した。日中に電話がつながらなければ夜に電話し、それでもダメなら土日にもかけ続けた。

しかし電話がつながっても、総会案内が「届いていない」「捨ててしまった」などと言われ、いかに管理組合の運営に関心がないかを痛感した。〇日に届いているはずだから確認してくれとお願いし、FAXかメールで再送するから番号を教えてほしいと粘ったが、中には「そもそも自分は所有者でない」主張する人もいた。

この場合の「所有者」とは、必ずしも登記上の所有者とは限らない。管理組合に「組合員」として届け出られている人物のことだ。この人には「あなたが組合員として届け出されているんですよ」と、一から説明しなければならなかった。しかも、そうした人が何人もいた。

結局、労力を費やしても提出してくれる組合員は少数だった。

法改正は朗報か?

そんな組合にも、今回の法改正は朗報といえる。しかし、この法改正で総会で賛否を投じない組合員は、可決のための分母から除外されるという事実は重く受け止めなければならない。

無関心をよそに、管理費や修繕積立金は爆上げされ、マンション価格の下落というおまけも付いてくるからだ。自分が組合員であることを、管理会社が説明してくれることも少なくなるに違いない。

そして今後も、この議案可決に必要な数はさらに緩和されることが予想されている。

株式会社ビル新聞社

コラムあとがき

 今回の区分所有法改正は、出席票が足りず総会で重要議案を通すことができなかった組合にとっては、間違いなく朗報です。

 一部の組合では、区分所有者と議決権の4分の3以上の賛成票を集めることは至難の業だったことでしょう。特に築年数の古いマンションではそもそも総会出席者がきりぎり半数あるかないか…といった組合も珍しくありません。このような組合は、総会が開催できるかすら危うい状態に陥っているといえます。

※総会出席=会場出席者+委任状提出者+議決権行使書提出者

 しかし総会出席率が100%近い組合も少なくなく、60%や70%という組合も大いに反省が必要です。組合に無関心が蔓延している証拠であり、今すぐ対応しなければ今回の法改正でも立て直せない組合と化してしまうでしょう。

そうなったら、マンションのスラム化は避けられないものとなると予想しています。

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